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『─銀河鉄道の夜─』 銀河鉄道が白鳥座を過ぎ、星の果てに到着する頃─── 「みんな降りてしまって、二人っきりになったね」 ジョバンニはカンパネルラの顔を上目遣いにうかがう。 視線の先には大好きなカンパネルラがいる。 彼は窓の外を見ながら、うんと返事をした。 「あ、あのさ、みんなボクのことバカにするのに、どうしてカンパネルラは ボクに気遣ってくれるの?」 ずっと聞きたかったこと。でも聞いてしまうと悲しみが 訪れてしまうかもしれない。だからいつも一人、こうだったらいいな と妄想してはため息をつくの繰り返しだった。 でも、今なら・・・今しかないと思った。 目の前のカンパネルラは目を大きく見開いてジョバンニに体勢を向けて 座りなおした。何を考えているか表情だけでは分からない・・・ それが彼の魅力でもあるけれど・・・ 「ジョバンニは───よくボクのこと見ているよね? どうして?」 「そ、それは・・・」 カンパネルラの曇りのない質問にジョバンニはうろたえた。 目を伏せようとしたその目じりの端で、カンパネルラが 確かに笑ったような・・そんな気がした。 「キミを気遣っているように見えた?」 「え?」 ジョバンニはうつむきかけた頭を恐る恐る上げカンパネルラを見る。 「バカにする気はなかったよ。そんなの面白くないからね。 ただ、ジョバンニがボクを意識してうろたえたりしているのをみると 言葉に出来ないほど愛おしく思ったんだよ」 カンパネルラはそういうと屈託のない笑顔を見せた。 ジョバンニの顔はみるみるうちに真っ赤になる。 自分のことをそんな風に思っていてくれていたなんて・・・ 「? どうしたの?」 カンパネルラは知ってか知らずか、ジョバンニの顔をいたずらのように 覗き込む。そして─── 「キス、しようか?」 うろたえるジョバンニに、キミのことが大好きだよと伝え、 彼は綺麗に笑った。 -fin- |